週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

日本ハム 有原航平投手・苦難の新人王から本格飛躍の来季へ

 



 有原航平が注目の1年目を走り抜け、底力で狙いを定めていたタイトルをつかんだ。昨年のドラフトで最多4球団が競合した即戦力との評価を、結果で示した。6敗は喫したがパ・リーグの新人最多の8勝を挙げ、2年連続Aクラス入りに貢献した。入団時から目標にしていた新人王を獲得。「まさか、僕が……。正直、ビックリしました」と目を丸くした。

 価値のある巻き返し劇だった。早大4年時からの右ヒジの不安を抱えたまま、プロ入り。球団方針で春季キャンプは二軍からスタートした。当初は1位入札を検討していた他球団が指名を回避したほど軽視できない問題点。はやる気持ちを抑えてスロースタートを余儀なくされ、開幕も二軍スタート。「ケガをしていたので、想像もできなかった」のが、本音だ。

 苦悩の時期を抜けると、期待どおりの働きをした。5月15日オリックス戦(札幌ドーム)でプロ初先発初勝利。そのまま先発ローテーションの一角に定着し、シーズン終了まで完走した。コンディションを見ながら登板間隔を空けるなど、球団の的確な戦略も的中。「投げたくても投げられずに苦しかった」と我慢が実り、シーズン終盤には規則的に先発の一角を守った。

 一定の期待に応え、及第点でプロでの船出を終えた。栗山監督ら首脳陣から信頼を勝ち取り、来季は先発ローテーション入りが確実視される。精度ある多彩な変化球に、150キロ超の剛球。安定して年間2ケタ勝利をマークできる逸材だけに、来季は本格的な躍動の予感がする。「来年は生まれ変わった投球をしたい。開幕からシーズンを通して安定した投球をしたい」。正真正銘、ベールを脱ぐ。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング