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日本ハム 武田勝投手・生涯ファイターズで復活への思い

 



 やさしくはない決断をした。ベテラン武田勝が、裸一貫で再スタートを切る。FA権を保有しながらも行使せず、7000万円減の年俸4000万円プラス出来高払いの条件を受け入れた。野球協約の減額制限(1億円超は40%以下)を超える提示額に、厳しい現実を実感したが、11年目も同じユニフォームを着ることに決めた。

「ファイターズで野球人生を終えたい」

 チームへの思いが一番の決め手になった。今季はプロ入り後ワーストの一軍9試合登板。世代交代の波に直面し、出場機会を失った。大谷、吉川、有原ら後輩たちに代表されるようなパワー投手全盛の近代野球。経験値十分で希少となった技巧派の左腕として、若手たちと勝負をしたが、その壁を打ち破れなかった。「言い訳はできないですね。自分の実力不足です」と受け入れ、再起を誓う。

 全盛期にはエース格として躍動。2009年から4年連続2ケタ勝利と抜群の安定感を誇ったが、直近の2年間は低迷。一時的に中継ぎへ配置転換されるなど山あり谷ありだったが、来季もチャンスを与えられることになった。「一言で言うとファイターズが好きだからです。ここにいることが、しっくりくる」。そう感謝して恩返しをする。

 新たな役回りも自覚し、来季へ臨む。「自分の経験を伝えたい。技術や力があっても1年間戦い抜くのは難しい」。若手に心構えなどで刺激を与えながら復活を期す。来季は同い年の武田久とともに、チーム最年長になる。「チームは若手に切り替えている最中。その中で貢献できるポジションを模索しながら、どこでもできるようにしたい」。数字だけでなく第一線を走ってきた責務を果たす。
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