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ヤクルト 成瀬善久投手・原点回帰で連覇の立役者に

 



 一心不乱に腕を振った。11月に松山で行われた秋季キャンプ。30歳になった成瀬善久は、初日からブルペンで70球を投げ込むなど、若手に交じり汗を流した。

「今年は悔しさしかない。チームがリーグ優勝したのに、その輪にいられなかったのがつらかった。来年は最低でも1年間先発ローテを守らないといけない」

 ロッテからフリーエージェント(FA)で加入した今季は、大きな期待を背負ってスタートした。慣れない環境ではあったが、開幕ローテーション入り。3月31日の阪神戦(神宮)では移籍後初先発初勝利を挙げるなど、上々のスタートを切ったはずだった。だがその後は自身が投げた試合は5連敗と勝ち星を伸ばせなかった。後半戦は先発ローテを外れ、9月には左太ももを肉離れ。3勝8敗、防御率4.76でシーズンを終えた。

 再起を目指す2016年に向けて、秋季キャンプでは一から自分を見つめ直した。「やっぱり直球あっての変化球。直球は僕の原点。スピードが出ない分、キレを出して球速以上に見せないといけない」。2013年に左肩を痛めてからフォームが縮こまり、球速以上に球の質が落ちていた。そこで自身が最も手応えを感じていた13勝(11敗)を挙げた10年の映像をチェック。「今年の投げ方と全然違った。それまでは昔は昔と思っていたけど、ビデオを見てからは投球のイメージが良くなった」。その効果もあり、11月15日の社会人・松山フェニックスとの練習試合(松山)では2回をゼロ封した。

 現在、プロ通算93勝。残り7勝で100勝に到達する。「来年は規定投球回を投げたい」リーグ連覇にこの男の復活は欠かせない。
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