今季、勝負の年となるのが期待のセットアッパー候補、白村明弘だ。昨季はシーズン途中から「勝利の方程式」の一角に食い込んだ。150キロを超える剛速球とフォークが持ち味の本格派。マウンド上では帽子を目深にかぶり、鋭い視線で打者に相対する熱血漢。自身初の50試合登板を果たした右腕の実力が本物なのか。栗山監督からも一目置かれる成長株が、真価を問われる1年を迎える。

　ルーキーイヤーの14年終盤に頭角を現し、CSで好投した勢いを買われたが、アピールに失敗。15年の開幕は二軍で迎え、4月下旬に昇格。最初は負け試合や大量リード時の登板だったが、夏場に16試合連続無失点を記録。大事な場面を任されるようになり、疲れのたまるペナントレース中盤で、中継ぎ陣の救世主となった。

　地道に結果を残して一軍に定着した。開幕前には得られなかった首脳陣からの信頼を勝ち取った1年を終え、新たなシーズンへの気持ちも高ぶっている。「継続して結果を残さないといけない」と、まずは1年間を通じて安定した投球を目指す。昨季終盤は疲労から失点を重ねるケースも目立った。体力とともに、タフな場面を何度でも乗り越えられる精神力の強化も課題となりそうだ。

　ホップ、ステップと入団から着実にキャリアを重ねてきた。実質的に一軍で初めて投げ続けた昨季の経験を今季につなげられるか。ジャンプを目指す3年目は獅子奮迅の活躍が求められる。「やらないといけない立場なので」と、自覚も芽生えてきた。将来のクローザー候補としても目される逸材。4年ぶりのパ・リーグ制覇、10年ぶりの日本一奪回のためにフル回転してみせる。