2016年で8年目を迎える
中川大志は、後悔のないようにバットを振り込んでいる。和製大砲と期待をかけられ続けて、初めて15年は一軍定着のチャンスをつかんだ。自己最多の62試合出場で初アーチを含む5本塁打を放ち、まさにブレークの兆しをつかんで2年目となる16年は勝負の年になる。「自信?不安しかないですよ。でも練習は裏切らないし、しっかりやっていきたい」と前を向く。
一軍で結果を残した15年は大きなステップアップを果たしたと言える。
サンチェスやペーニャら外国人野手の不振もあり、5月上旬に一軍昇格。5月21日の
日本ハム戦(コボスタ宮城)で初めてスタメンで四番に座り、同31日の
巨人戦では満員の大観衆が見守る中でプロ初のサヨナラ弾を放った。手応えもあった一方で、気持ちは余裕のそぶりすら見せない。
「15年も中盤からやられっぱなしだった。16年は16年で新監督になりますし、ライバルも増えます。15年の経験もあるけど、(実質)2年目と言うよりは、ゼロからのスタート」。厳しい攻めから打撃フォームを崩した反省が、胸に強く残っているからだ。
昨秋の倉敷秋季キャンプでは、新任の池山打撃コーチから熱い指導を受けた。その中で特に意識して取り組むのは「バットの出し方ですね。内を通してヘッドが寝ないように、立てて振るイメージのスイング」という。いい角度で強い打球を飛ばす。「池山さんに教えてもらったことは、僕の理想と近い。いい形で打てる確率を良くしたい。そうすればすべての成績は上がる。オフの間にモノにしたい」。通算304本塁打を誇ったアーチストの技術を受け継ぎ、16年こそ秘めた素質を完全に花開かせる。