優勝請負人の使命を背負う。
アンソニー・バースが、今季の新戦力の目玉として期待を集める存在だ。2月1日のアリゾナ州でのキャンプで合流。慣れ親しんだ当地で順調に調整を継続中。来日後に予定されている実戦マウンドに備えている。メジャー通算129試合登板の実績を誇り、まだ28歳と伸びしろも秘めた本格派右腕だ。
入団までの経緯が、意気込みを物語る。昨季は、
ダルビッシュ有のチームメートでレンジャーズに所属。キャリアハイの33試合に登板して殻を破りそうなシーズンを終え、オフにマリナーズへトレード移籍が決まった。その直後に、
日本ハムが強い獲得意思を示して猛烈にアタック。アメリカ球界に新天地があったにもかかわらずその進路を放棄して、異国で挑戦することを選択した。
極めて珍しいケースといえる。幼少時からあこがれ、開け始めていたはずのメジャー定着への夢をあきらめたのだ。「プロ野球人生のほとんどを先発として過ごしてきた。自分の頑張りが少しでもチームに貢献できればいい」140キロ台後半の速球に、空振り奪取率が高いスライダーなど変化球も多彩で完成度が高い。
球団経営にシビアな日本ハムにしては、やや高額な推定年俸1億円を投下してまで獲得にこぎつけた。若手がひしめく先発ローテーション争いだが、すでに別格のランク付けをされている。日本ハムが北海道に本拠地を移転した2004年以降、優勝から3年間遠ざかったのは最長のブランク。まずは4年ぶりのリーグ制覇へ向けて。かつての
阪神の最強助っ人と同じ響きの「北のバース」が大きなカギを握る存在となりそうだ。