ドラフト10位のルーキーがオフから話題を独占している。1月の入寮時には、大ファンだという人気漫画「北斗の拳」の好きなキャラクターであるラオウの名セリフ「我が生涯に一片の悔いなし」と書かれたカップを持参。「あれくらい強い男になりたい」と熱く語り、個性的な一面を発揮した。

　1月23日には新人合同自主トレに偶然マーリンズのイチローが合流。交互にフリー打撃を行い「思いっきり振っておけばいい。当たったら飛ぶよ」とアドバイスを受けた。世界を舞台に活躍する天才打者からの金言に「昇天しそう」と“名言”を残した。

　さらに夢の時間は続いた。キャンプ出発前日の1月30日。神戸市内の合宿所を訪れたイチローから、練習パートナーに指名されたのだ。偶然居合わせた糸井と3人でフリー打撃を行う間、杉本はイチローに積極的に質問。「フリー打撃では8割ぐらいは芯でとらえないと」など貴重な言葉の数々に「日本で一番幸せ」と笑みを見せた。

　もちろん実力も折り紙付きだ。一軍スタートとなった今春キャンプでは、見学に訪れたマーリンズのデイビット・サムソン社長が「(背番号)99番の子は気に入った。肩が強い」とシート打撃で見せた強肩をべた褒め。中堅からの送球には歓声が上がったほどだった。福良監督も「あの肩はイチロー、田口に並ぶ」と絶賛した。

　190センチ、88キロと大型で見せるプレーすべてがダイナミック。まだ粗削りながら力強い打撃と、50メートル6秒1の足も魅力だ。昨秋ドラフトで12球団に指名された全88人中、87番目に指名されたとは思えない存在感を放っている。まず狙うは開幕一軍。“オリのラオウ”は、プロという修羅の国を勝ち抜く。