指揮官自ら成長を感じ取った男がいる。
ソフトバンク宮崎キャンプ第3クール最終日だった2月11日、3日連続で早出特打の若手相手に打撃投手を務めた工藤監督は131球を投げた。18.44メートル先で対峙した背番号51のスイングに魅了されるように白球を投げ込んだ。
「インサイドに行くボールが多かったけれど、うまくさばけるようになってきていた。いままでは低め(打ち)だけだったけど、内角がさばければ相手の攻め方も変わってくるよ」
評価がうなぎ登りなのは高卒3年目の
上林誠知だ。昨季ウエスタンで打率.334、103安打、16盗塁と「3冠」を獲得するなどブレークし、一軍では8月25日の
ロッテ戦(ヤフオクドーム)でプロ1号となる満塁弾も放つなど、2年目の昨季も片りんは見せていた。今季は2年連続で弟子入りした内川の自主トレで手首を返しやすいクセを「フォロースルーを大きく取るつもりで振れ」とのアドバイスをもらい、少しずつ解消してきた。「キャンプは朝一番に来て最後に帰る」と寸暇を惜しみ、バットを振る。
打撃だけではない。マリナーズとマイナー契約した
李大浩が抜け、一塁には外野手の内川、
中村晃らが回る可能性も出てきた。そうなれば日本一、競争の激しい外野手争いに食い込むチャンス。「走攻守そろった選手になりたいと思っています」引っかけやすい送球難を修正すべく、佐藤一軍投手コーチの特別レッスンも受けた。吸収するべきことは、垣根を越えて学び、日々の成長につなげる。
尊敬してやまない
イチローは同じ、高卒3年目にブレークした。背番号51は偉大なる先輩の背中を追い続ける。