春季キャンプ初日を終え、感想を語った田邊監督が真っ先に名前を挙げたのが、助っ人スラッガーの名だった。「メヒアの動きも非常に良い。半ソデで気合も見せていたし、去年の今ごろとは比べモノにならないほどスリム。今年にかける意気込みを感じた」

　本人も、オフは母国の自宅にピッチングマシンを購入してまでトレーニングに身を入れ、「コンディションはバッチリだよ！」と断言するほど。自信を持って3年目の日本でのシーズンをスタートさせている。

　その裏には、昨年キャンプからシーズン序盤で味わったトラウマがある。ほとんど自主トレを行わずにキャンプに挑んだ。ほかの選手たちが100％に近いコンディションでキャンプ初日に合わせてきた一方で、ダイエットから開始する状況では、同じ練習メニューについていけるはずもなかった。

　フリー打撃では、あまりの状態の悪さに全体メンバーから外され、室内練習場での別メニュー調整という屈辱も味わった。開幕しても、なかなか思うように成績は伸びず、志願して早出特打に取り組むまでの重症だった。賢く、責任感が強いだけに、自分が本塁打量産を期待されていることは十分承知している。同じ轍を踏むわけにはいかない。「去年、すごく多くのことを学んだ。今年はその反省を改善してみせる」と汚名返上を誓う。

　そして、昨年は参加させてもらえなかった第1クールでのフリー打撃ではバックスクリーン直撃を連発するなど、早々と昨年からの変化を首脳陣にアピールしている。打てば上機嫌、打てなければ自身への怒りを大爆発させる。そんな、誰よりも純粋に野球が好きな男だからこそ、自分がもっと楽しむために大暴れしてくれるはずだ。