手応え十分、価値は十二分の一発だった。新生
DeNAにとって初の対外試合となった、2月13日の
ヤクルト戦(浦添)。人一倍の気持ちを入れて臨んだのが
戸柱恭孝だった。「当たり前のことをやれば結果はついてくる」2点を追う5回二死三塁。一軍で実績のある中継ぎ左腕・久古のスライダーをフルスイングした。「びっくりです。1球1球、必死に食らいつきました……」チーム初本塁打、12球団の新人でも1号。右翼席に吸い込まれる打球を見届け「全然、覚えてません」と無我夢中だったことを強調した。
今季ドラフト4位で入団し、正捕手候補として期待値は高かった。右投げ左打ち、球団に与えられた背番号は「10」
巨人・阿部のように、球界を代表するスーパーキャッチャーになることが求められた。「阿部さんは雲の上の上、それ以上の存在です。でも、せっかくなら目標は高く持っていたい」遠投110メートルで守備力には自信。ベンチからサインを送ることが多い配球面でも要求に応え、
ラミレス監督は「リード面も完ぺきだった。恐れることなく内角、インハイを攻めてくれたね」と手放しで褒めちぎった。
3年ぶりの最下位から浮上するしかないシーズン。昨季はプロ野球記録に並ぶ68暴投とバッテリーエラーが続出した。宜野湾キャンプでは黒羽根、嶺井、高城を加えた4人でレギュラー争い。キャンプ中盤には最も実績のある黒羽根が二軍降格した。
「他の捕手と比べてもゼロからのスタート。僕には経験がないので、とにかく思い切ってやりたい」
長く固定できそうでできなかった司令塔のポジション。フレッシュな男が、最も近い位置につけている。