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ソフトバンク 工藤公康監督・競争心をあおり、高まるチーム力

 



 打線の再構築が求められている。昨季五番の李大浩が退団。主軸が一人抜けたことには違いないが、就任2年目の工藤公康監督はことさら、フロントに補強を要請することもなかった。「より野手陣のモチベーションが上がって、競争が活発になっている」というのが、王会長と共通の見立てだった。中軸こそ固めるが、周りは可変。そうして昨季90勝を挙げた。

 明石に川島、本多と二塁が過当競争気味なのは相変わらずで、今宮とて100%遊撃定着の保証はない。右ヒジ手術明けの柳田が開幕センターを守れるかは微妙で、外野も3年目の上林まで競争に食い込む。空いた1枠がもたらす幅の広がりは大きい。

 だからこそ、だろう。春季キャンプ中盤に工藤監督は早々に軸となる四番を決め、内川に言い渡した。

「何番を任されても自分の打撃を変えない。打順によって打撃が変わるようではダメだけど、(内川は)そういう強さを持っている」

 1月に柳田が四番への挑戦を公言したが、それは周囲に促され、また自身を鼓舞する意味合いが強かった。「そういう(柳田の)意気込みはいい」と歓迎してはいたが、何より四番を争わせるより、右ヒジのリハビリに専念させるのが先決。就任1年目だった昨春同様、主力各選手と直接の対話をした。内川の意思も確認した上で伝えた。

 投手陣もまさに盤石。武田、バンデンハークの両輪に、攝津、中田がいて、復帰した和田に、期待の千賀もいる。贅ぜいを極める先発ローテーションは、「空いている席は3つも4つもない。そのへんは一番、調整ができた投手に」必然的に競争意識をあおり、チーム力を高める。今季も分厚い選手層を利し、戦い抜く。
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