外野は層が厚く、定位置争いは激しい。現状でレギュラーと呼べる長野以外に、昨季ブレークした立岡、勝負強い亀井、スピードが武器のルーキー重信、新外国人の
ギャレットもケースによっては外野に回る。その中で、長打力で競争に割って入ろうとしているのが
大田泰示だ。
その資質を認められながら、レギュラーをつかみ切れずにここまで来た。ここ数年の自らの姿勢を振り返り「今まではヒットにこだわって(スイングが)小さくなって、弱さを出していた。そうなれば自分が(
巨人に)入ってきた意味がなくなる」
やはり、一番の魅力は豪快な打撃であり、周囲もそれを求めている。原点回帰し、オフから過ごしてきた。今、意識しているのはとにかく強いスイングをすることで「そういうスタイルを取り戻す。自分の持ち味を出す」と力を込めた。
実戦で結果も出している。2月24日に沖縄・那覇で行われた
中日との練習試合では、高めのボール気味の球を左中間席に運んだ。「一球で仕留められて良かった」と打ち損じることなく、完璧にとらえた。3月2日の
日本ハムとのオープン戦(札幌ドーム)では3対3の9回に勝ち越しの3ランを左翼席上段に放り込んだ。パワーを存分に見せつける一発に「(しっかりと)振ることだけ頭に入れて打席に入った。オープン戦でも勝ちにつながったことが大事」と表情を緩めた。凡打に終わっても力強い打球が多く、内容が濃い。高橋監督は「続けてくれたらいい」と期待を寄せる。このまま長打力を発揮すれば定位置も見えてくる。「レギュラー争いに食らい付いていきたい」と無心で自らの打撃を貫いていく。