節目の年を復活の年にする。今年で30歳を迎える
美馬学は、強い決意を穏やかな笑顔の奥に隠している。
「落ち着きたい。落ち着いて野球にも取り組みたい。僕が知っている30歳とは違う。もっと大人になるものだと思っていました」
昨年9月に右ヒジをクリーニング手術。気持ちも体も、まだまだ老け込むつもりはない。
最高のスタートを切った。今季初登板となった3月30日の
ロッテ戦(QVCマリン)。9回3安打無四球完封を、わずか96球でやってのけた。CSでの完封はあるが、シーズンでは初。
「スイスイ行き過ぎて自分でもビックリしています。重みは違うかもしれないけど、自分の中ではCSより大きい。自信になりました」と笑った。
すべてが順調だったわけではない。手術直後は、投げられない恐怖を感じた。
「全然戻らなくて、もうダメかと思いました。さすがに5度目は無理かって」
高校時代にじん帯移植手術を受けるなど、5度手術した右ヒジ。注射による治療や強制休養など、できる限りの手を尽くし、ようやく状況が好転したのは、もうキャンプ直前だった。
そのキャンプでは自主トレ期間の地道なリハビリが生き、150球を超える投げ込みを行うなど、プロ入り後、最高の時間を過ごした。
「いつも1年間プレーできなくて、悔しい思いばかりしている。1年間しっかり先発ローテを守りたい」
5度目はカムバックで終わらせない。復活以上の進化した姿で、自己最高のシーズンにする。