大きなストライドで速度を上げ、二塁ベースに速く鋭いスライディングを突き刺した。際どいタイミングも、塁審の両手が広がる。3月26日、開幕2戦目のソフトバンク戦(Koboスタ宮城)。延長10回に決めたプロ初盗塁を「いつでも行けのサイン。もらえるチャンスも少ない。アピールしていかないと」と振り返った。

　プロとして“勝負”に勝った。8回に代走で途中出場すると、10回に迎えたプロ初打席はバリオスから四球を選び出塁。一塁に立つと6度もけん制を受けながら、迷いなくスタートを切った。延長に入り、サヨナラの走者として得点圏に進めるかどうかという局面。最大限の警戒網をかいくぐり、見事に二塁ベースを盗んだ。

　いきなり刻んだプロ初盗塁は、別の話題も呼んだ。球団がチャリティーとして、記念の二塁ベースをオークションに出品。1週間後、約20万円で落札された。「価値が出るように頑張ります」と本人は控えめに話したが、規格外ルーキーらしい後日談となった。

　キャンプから一軍に食らいついてきたが、4月14日、主力に故障者が続出したあおりを受け登録抹消。それでも、梨田監督は「2月1日のバッティングからすれば、良くなっている。自主トレ、キャンプとよくついてきた。いい経験ができた。必ずチームの中心を担ってもらいたい選手」と今後の成長に期待を寄せた。大きな可能性を示したルーキー。その存在は、ファンにとっても大きな希望だ。