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楽天 松井裕樹投手・見えてきた復調への兆し

 



 右翼テラス席に飛び込んだ打球を、呆然と見つめていた。4月17日、ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)。4点リードで迎えた9回だった。二死二塁から内川に二塁後方に落ちるタイムリーを許すと、松田に左前打でつながれ、代打・吉村に同点の右越え3ラン。チームも延長12回サヨナラで敗れ、「技術がまだまだ足りない」と悔しさをかみ締めた。

 結果を出しながらも、不安定な状態が続いていた。開幕戦こそ3人で締めたが、それ以降の登板では必ず走者を許す内容。キャンプ第2クールで左ヒジに張りが出た影響もあり、本来のうなるような直球は影を潜めていた。それでも17日までは、失点はソロによる1点だけで失敗なし。「今年は引き出しも増えてきている」とホームを踏ませない粘りの投球を見せていたが、ついにつかまってしまった。

 復調の兆しは見えてきている。同23日の西武戦(西武プリンス)、延長11回に登板すると3者連続三振。ようやく、らしさをのぞかせ「空振りが取れてきているし、いい状態に近づいている。スピードガンを気にしてしまうところもあるんですけど、最低は脱したと思ってます」と手応えを明かした。

 梨田監督も「開幕のときと比べて、シーズンに入って状態を戻してくれた」と目を細めた。4月26日時点で12試合に登板し5セーブ、5ホールドは十分な成績といえる。内容も伴い始めた左腕が、相手打者を圧倒する本来の姿を見せる日は、もう遠くない。
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