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広島 中崎翔太投手・苦手を克服して成長

 



 自己評価は厳しいが、苦しい台所事情のなかで安定感は際立っている。中崎翔太は4月27日時点で11試合の登板。0勝1敗7セーブ、防御率2.45をマークしている。それでも「満足はしていない」とはっきりと口にする。悔しいのは4月8日、甲子園での阪神戦で1点のリードを守り切れず敗戦投手になった試合。シーズン前に「負けをなくしたい」と意気込んだだけに悔しさをつのらせた。とはいえ巨人・澤村と最多セーブを争っている。代わりのいない広島のクローザーとして職務をまっとうしている。

 首脳陣が総じて心配していたのが春先の投球だった。本拠地マツダ広島のナイターは気温が下がる。かつて血行障害の手術を受けた中崎にとって、体が温まるのが遅く感覚がつかみにくいと不安視されていた。昨季も開幕戦からつまずき、不安が残っていた。だが中崎は一切の不安を口にしない。昨季からの経験を生かし常に手袋をつけるなど工夫を重ねた。開幕前には状態を上げ、首脳陣もOKを出した。まだ23歳。成長のスピードは上がっている。

 昨季そうだったように、夏場以降は急激に状態が上がる。チームも貯金を維持する好調な滑り出しだ。連投やイニングまたぎも苦にしないタフネスさに頼るときが来る。ギアを一気に上げるオプションも備えている。8回のジャクソンとともに勝利の方程式でチームを支える。中崎が広島を歓喜へと導くキーマンだろう。
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