「代打・枡田」の
コールが、チームに勇気を与えている。プロ11年目、非凡な打撃センスを誇る枡田を、梨田監督は切り札としてベンチに残すという選択をしている。5月4日の段階で代打として11度打席に立ち、7打数4安打4四死球、打点2。打率.571、出塁率.727と圧倒的な成功率を誇っている。
完ぺきに仕事を遂行したのは、4月27日の
日本ハム戦(札幌ドーム)だった。2点を追う9回一死一、二塁、嶋の代打で打席に入ると、日本ハムの守護神・増井の初球フォークを右前へはじき返した。1点差に迫る右前適時打。結果的にチームはサヨナラ負けを喫したが、一時は同点とした猛攻の中で大事な役割を果たした。
特別な準備をするわけではない。「打順や相手投手を見ながら、自分の出番を予想してバットを振ったりしているだけ。そろそろかなと思うと、自然と高まってきます」。1打席にかける集中力の高さに、梨田監督も「ああいう選手は、後ろに残っているからいい」と大きな期待をかけている。
代打だからこその難しさもある。4月24日の
西武戦(西武プリンス)では一死満塁で三振。4月29日の
オリックス戦(京セラドーム)でも、一死満塁で一飛に倒れた。
「ダメージはでかいです。その1打席しか楽しみがないですから。でもその分、打ったときの喜びは大きい」
ファンとその快感を分かち合うため、今日もその一振りに全神経を研ぎ澄ます。