手応えはあった。ただ、確信することはできなかった。5月8日の
楽天戦(ヤフオクドーム)。1点リードの3回に待望の一発は生まれた。釜田の145キロをしばき上げた打球は、楽々と右中間スタンドへ吸い込まれた。4月12日の
西武戦(西武プリンス)以来の3号ソロ。柳田は打球の行方を見届けても、スピードを落とさず大股でダイヤモンドを一周した。
「普段は(手応えで本塁打と)分かりますけど、最近、打てなさ過ぎて分からなかった。入らなかったら恥ずかしいと思って走りました」
昨季はトリプルスリーを達成するなど、一気に球界を代表する選手の一人に名を連ねた。さらにチームは優勝大本命。その中心となる男は今季、徹底した内角攻めに加え、極端な「柳田シフト」を敷かれるほど警戒された。3、4月は打率.236、2本塁打、9打点。ボールだと思い、避けた内角球がストライクと判定され、顔をしかめるシーンが多く見受けられた。
復調には周りの手助けが大きい。工藤監督はいつか上向くと考えている。内川、長谷川の状態が上がり始めると柳田だけに一極集中するわけにはいかない。18試合連続四球の日本タイ記録を作ったが、この復活弾を放った試合を入れた4日からの5試合での四球は2と、徐々に減ってきている。甘い球が来るようになれば、すべてが好転する。
まだまだ、ミスショットは多くあると柳田は言う。史上初の40本塁打、40盗塁を目指す男が、ようやく、反撃態勢を整えた。