ドンッと音が聞こえてきそうなぐらいの迫力だった。今年1月の新人合同自主トレ初日、ドラフト1位ルーキーがバットを振ると、周囲にいた関係者は、たちまち目を奪われた。
「あれだけ振れるとすごい。実戦でどれだけ振れるのか見てみたい」
福良監督も一目で虜にする豪快なスイング。試合で見てみたいと思わせるその一振りが、
吉田正尚の最大の武器だ。
しかし順風満帆なスタートではなかった。首脳陣への初お披露目の翌日、左ふくらはぎの筋膜炎で離脱。春季キャンプも二軍スタートが決まった。それでも「あくまでシーズンの開幕に合わせているので、徐々に上げていきたい」と力強く話していたが、キャンプ中もケガに泣かされ、大半をリハビリに費やした。
プレーするところを見たいという「お試し」期間で、オープン戦終盤に昇格したが、“持っている男”は違った。デビュー戦で安打を放つと、翌日には特大の一発。その翌日にもマルチ安打を記録し「あの3試合でのスイングを見て決めた」と指揮官は開幕スタメンでの大抜てきを決意した。3月25日の
西武との開幕戦(西武プリンス)では「一番・DH」でオーダーに名を連ねると、その後も打ちまくり、開幕戦からの連続安打の新人記録にも並んだが、疲れもあって失速。現在は、腰を痛めて再びリハビリの日々を過ごしている。復帰後、期待が集まるのはやはりプロ初本塁打だろう。持ち前のフルスイングで記憶に残る一発にしてみせる。