気持ちよさそうに汗を拭った。
「やっと開幕できましたね。緊張しましたけど、楽しかったです。マジで疲れました……」
5月4日の
ヤクルト戦(横浜)。お立ち台に上がった
梶谷隆幸は、一軍の雰囲気をかみ締めた。ゴールデンウィークの本拠地・ハマスタ。割れんばかりの大歓声に心から感謝した。故障で出遅れた男の復帰戦。最下位に低迷するチームの起爆剤として、いきなり大暴れした。「三番・中堅」で先発出場。1打席目の空振り三振で目を慣らし、4回に即結果を出した。一死二塁から右前へ先制の適時打。6回は中越え三塁打で快足を飛ばし、ロペスの左犠飛でホームを踏んだ。3対2で快勝。「ここから巻き返したい」と言葉に力が入った。
「二番は梶谷で固定したい。これは早い段階で決めていた」
就任早々、
ラミレス監督からキーマンに指名された。一番から石川-梶谷-ロペス-筒香-
ロマックと並べる構想の軸的存在。たった1日で暗転するとは、誰も思わなかっただろう。宜野湾キャンプの2月17日。守備練習で外野フェンスに激突し、左ワキ腹を強打した。肋骨挫傷や骨挫傷と症状は重く、一つの目標でもあった侍ジャパンは辞退。「80%まではいくけど、そこからが難しいですね……」ともどかしい日々を過ごし、やっと表舞台に戻ってきた。チーム事情により二番での出場はまだないが、すでに7試合で2本塁打とパワーアップも証明。看板打者の帰還は確かな推進力となりそうだ。