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楽天 聖澤諒外野手・一打席への集中力

 



 勝利を引き寄せたのは、聖澤諒のバットだった。6月11日の広島戦(Koboスタ宮城)。同点に追いついた直後の8回、二死一、三塁だった。広島の2番手・ヘーゲンズのカットボールを強振すると、しぶとく一、二塁間を破る決勝の適時打。「もうちょっと、会心の当たりを打つ予定だったんですけどね」と笑顔で振り返った。

 周到な準備が結果につながった。決勝打の直前、8回二死一、二塁から代打・後藤が同点の右前適時打。「(ヘーゲンズは)対戦したことのない投手でカットボールが中心。レフトへ流したほうがいいのかとか対策を練っていた中で、後藤さんがお手本を見せてくれた」。同じ左打者の一打に続き、迷いなく引っ張り勝利をもぎ取った。

 不動の一番としてチームをけん引した数年前とは状況が違う。6月11日の時点で.328と高打率を残しながら、スタメンが確約されているわけではない。「腐ったり緊張感を切らしたり、そういうもったいないことはしないようにしている。いつでも出られるように、準備をしてます」。高まった一打席への集中力が、観察と応用の源となった。

 梨田監督も「オコエが目立っているからそんなに目立っていないけど、質より“諒”と言うしね」と得意のダジャレを交えて称賛した。「若さだけだと長くは続かない。若い力と中堅、ベテランの力がかみ合うことで、勝ちに近づく」と話す30歳。積み重ねてきた経験が、チームの力となっている。
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