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ソフトバンク スアレス投手・監督も目を見張る対応力

 



 この男がいなかったら……。そう思わせるだけの急上昇を遂げてみせた。スアレスは入団1年目の今季、58試合に登板し、2勝6敗1セーブ26ホールド、防御率3.19をマーク。守護神・サファテの「前座」となる8回を任されるだけの存在へ駆け上がった。

 その曲線が最高到達点を極めたのは10月14日のCSファイナルステージ第3戦(札幌ドーム)。3点ビハインドの8回に登板。二死からレアードに対し、2球目に自己新記録の160キロを計測し、3、4球目には2球続けて161キロと、さらにギアを上げた。

「初めて160キロを超えて、個人的にはすごくうれしいが、それよりも3つのアウトが大事だったよ」と興奮気味に振り返っていた。

 一昨年までは建築現場の作業員や運転手の仕事で生計を立てる一般的な労働者。白球とふれ合うのは草野球をかじる程度だった。プロとしては昨年のメキシカン・リーグが実質の1年目。細かいプレーが要求される日本球界においてはクイックモーションやけん制球、フィールディングなど乗り越えるべき課題は山積みで、球団も1年目はファームで育成するつもりだった。だが、この男はどんどん吸収。「クイックもけん制もうまいんだ」と工藤監督も一軍に呼ばないわけにはいかなかった。

「オフにしっかり投げ込み、それ(161キロ)以上のスピードボールを投げたい」

 躍動した今季から、さらに底上げすれば、真のMVP男になる日も遠くない。
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