12球団ワーストのチーム防御率4.73と投手陣が崩壊した今季、
村中恭兵が獅子奮迅の活躍を見せた。昨季は制球難などに陥り、2年目の07年以来8年ぶりに一軍登板なし。背番号は「15」から「43」に“降格”。背水の覚悟で臨んだ。
「まずは短いイニングで」という首脳陣の意向から中継ぎスタート。4月17日の
DeNA戦(松山)からは11試合連続無失点をマークするなど躍動した。
140キロ台後半の直球で打者を押し、回またぎの2イニング登板を何度もこなした。53試合に登板したベテラン右腕・松岡とともに、あらゆる場面で登板。台所事情の苦しいブルペンを支えた。昨季の悔しさを胸に「僕は『投げてくれ』と言われたところで投げるしかない」と腕を振り続けた。
極めつきは、6月30日の
広島戦(マツダ広島)。中継ぎで1回を投げてから中3日で先発のマウンドへ。ケガ人が続出し緊急先発となったが、5回5安打2失点で5勝目。
「調整はほとんどできなかったけど、一人ずつということだけを考えた。そこは先発も中継ぎも同じ。(リリーフの経験が)生きました」
7月7日のDeNA戦(横浜)では7回途中4失点で敗戦投手も、2度の先発マウンドを立派に務め、再びリリーフに戻った。
今季は52試合に登板し、7勝3敗、防御率3.90。06年高校生ドラフト1巡目で入団した左腕の復活はチームにとって頼もしい。来季は先発再転向のプランもある。一回り成長した姿が見られそうだ。