2016年は
田中靖洋にとって、勝負の1年だった。15年オフ、
西武を戦力外になり、
ロッテにテスト入団。開幕前、2年間の交際を実らせ、16年1月に島根県出身の一般女性、理恵子さんと結婚した。戦力外になり、新天地で再起をかける立場。不安が大きい中で支えになってくれた伴侶のために「自分だけの人生ではなくなった。相手の人生も背負っているので、がむしゃらにいきたい」と決意を固めた。
新婚で臨んだ石垣島キャンプは一軍スタートだったものの、開幕前に二軍落ち。制球に苦しみ、二軍でも結果が出なかった。後がないシーズン。新妻のためにも、大きな賭けに出た。「サイドスローで一軍に定着している人がいなかった。これでダメだったら後悔はない。やって終わりたい」と、スリークオーター気味に右ヒジを下げた。すると制球が安定して勝負球のシュートがキレを増し、一軍昇格のチャンスをつかんだ。
シーズン後半はケガ人が続出した救援陣を救う活躍を見せた。8、9月の2カ月間で中継ぎとして17試合に登板し、防御率2.76。松本編成部長も「大事な場面で投げてくれた。テストから自分の努力である程度の地位まで来てくれた」と評価した。契約更改では450万円アップの年俸1000万円(金額は推定)でサイン。昇給分で夫人へのプレゼントを買うのかと問われると「小遣い制だからな。でも、何かプレゼントしたい」と照れ笑いを浮かべていた。