いつにもまして表情は明るい。
大瀬良大地の充実した調整は口ぶりからもうかがえる。1月17日に初めて参加した合同自主トレで、いきなりブルペン入り。中腰の捕手を相手に33球を投げ込んだ。キレのある力強い真っすぐが戻っている。
「そろそろ傾斜を使って投げてみたかった。最初にしては強さ、タイミングがはまってくれた。昨年と比べても、順調に来ています」
右腕を気にするしぐさは見られなかった。
昨年はケガに泣いた。メジャーに移籍した前田の穴を埋める第一候補だった。開幕投手にまで名前が挙がっていたが、キャンプで右肩、右ヒジを痛めて離脱。シーズン中盤までを棒に振った。復帰登板となった7月20日の
中日戦[マツダ
広島]でこそ先発のマウンドに立ったが3回4失点。チーム事情も絡んで、以降は先発マウンドに立つことはなく、中継ぎでシーズンを終えた。そして今年、引退した
黒田博樹氏の穴を埋める筆頭候補として、再び先発に挑戦する。
「とにかく結果を出すしかない」
表情には危機感さえ出ている。
1月の自主トレは沖縄で前田と汗を流した。寝食をともにした間に、肩の可動域を落とさずに筋力をつけ、投球時の左手の使い方も教わった。収穫と勉強の一方で自覚から「頼ってばかりではダメ」と一足先に打ち上げて広島に戻った。失敗は繰り返さない。17年の広島の命運を握る男は、準備を進めていく。エースになれるか。野球人生を左右する1年になる。