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中日 岡田俊哉投手・大舞台での経験を糧に

 


 マウンドで表情を失った。4月6日の広島戦[ナゴヤドーム]。延長11回一死から登板した岡田俊哉は、3連打で満塁のピンチを招いた。代わった祖父江が新井に右犠飛を許すと、挟殺プレーのミスも相まって2失点。9回に同点に追い付いたチームの勢いに水を差すとともに、開幕から引き分けを挟んで5連敗に。試合後、二軍降格を告げられた。

「勝負の世界は結果を残すのみですから」

 そう自らを納得させる。状態が良くないのは、自分が最も分かっていた。直球は130キロ台中盤どまり。制球も定まらない。

「何とかしたい気持ちはあったんですが」

 ワールド・ベースボール・クラシックから息つく間もなく迎えたシーズン。調整の難しさを言い訳にしたくなかった。

 侍戦士としての経験は、確かに糧となった。1次リーグのオーストラリア戦。同点の5回一死一、二塁で登板し、ストライクが入らずに満塁を招いた。続く打者にも2ボールとなったが、最後は二ゴロ併殺打に。絶体絶命の窮地を乗り越え「ピンチのときほど、どう振る舞えるか」。国際舞台で精神的なたくましさを学んだ。

 ただ、慣れない環境と重圧の日々で、体重は3キロ減。ダメージは少なくなかった。森監督も「万全ではないんだろうけどね」と認めた上での苦渋の決断。それでも、長いシーズンを考えればブルペン陣に欠かせない存在。

「一軍レベルになって戻ってきます」

 日の丸を背負った左腕が、ただで転ぶはずはない。
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