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西武 渡辺直人・指揮官と同じ野球観を描ける“職人”

 


 5月5日現在、全27試合中9試合に出場しているが、いずれもロッテ戦と楽天戦での起用となっている渡辺直人。それぞれ昨季対戦成績が、打率.351、.390という確固たる数字が主な理由であることは間違いない。実際、そのデータどおり、今季初出場となった4月12日の楽天戦(koboスタ宮城)では5打数3安打2得点。同じく18日の楽天戦(大宮)でも2打数1安打、さらには28日のロッテ戦(メットライフ)でも3打数2安打と先発起用の期待に応え、相性の良さをあらためて証明した。

 結果だけではない。安打の打球方向、塁上で投手の心理を惑わせる細かな動き、アウトになるにしても進塁打や、投手に球数を多く投げさせるなどチームにとって意味のある凡打が多く、その野球頭脳の高さに、首脳陣やチームメートも「さすが」とうなるばかりだ。

 巡ってきたチャンスできっちりと仕事ができる勝負強さは、「野球が大好きだから、もっとうまくなりたい」「まだまだうまくなれる」という、36歳を迎えて今なお失うことのない、あくなき向上心を胸に日々の練習に取り組んでいるからだ。プロ11年目の“野球っ子”は、常に意識しているという。

「先発で出ても、途中からでも、冷静に結果ばかりを欲しがらず、その場面で自分の仕事を理解し、仕事に徹することが大事」

 サイン1つで、その先の意図を素早く正確に読み取れる。多くを指示せずとも、ベンチ内で同じ野球観を描ける“職人”は辻監督にとって、この上なく心強い存在だ。
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