3年連続8回目の球宴出場となるか。
新井貴浩は5月最後のファン投票中間発表でも、一塁手部門で2位の
巨人・阿部に大差をつけた。2016年に通算2000安打を放ち、セ・リーグMVPにも輝いたスーパースター。ファンからの人気も抜群に高く、40歳のシーズンも衰えない。「ありがたいですね」と謙虚に言葉を並べるのも、人気の一端に違いない。
今季は5月31日現在で規定打席に未到達。42試合の出場で打率は.265。本塁打は5本だ。実績を考えればこんなものではない。
開幕を四番でスタート。開幕2戦目からの10連勝を支えた。首脳陣は新井のコンディションを重視し休養日も設けていた。ただ、その間に四番には鈴木が座り、新井も調子を落としていった。出場機会に限りがあったとはいえ、5月は9日から24日まで2週間にわたり、22打席無安打が続いたこともあった。
それでも若手の多い
広島において、その背中が示すものは大きい。攻守交代でベンチを出て選手を迎え入れ、ヒーローになった選手の右手を持ってファンにあいさつをうながしたりもした。ベンチでは誰よりも大きな声を出し、代打の準備に時間をかけて1打席の世界に生きる。どこであろうと、チームのために──。その場所で輝くのが新井だ。
40歳を超えても全力の新井に、ファンも明日への活力となり得る共感を抱く。成績だけではない。新井は文字どおり、特別な存在になっている。