8月27日の巨人戦では6回まで本来の藤浪らしい投球を見せたが……
将来のエース候補といわれた右腕がもがいている。
藤浪晋太郎が一、二軍を行ったり来たりのシーズンを送るとは、だれが想像しただろうか。
高卒でプロ入りしてから10勝、11勝、14勝と順調に成長してきた。それが昨年は7勝止まりで、今シーズンはぱったりと勝つ投球ができなくなった。
注目は8月16日の
広島戦(京セラドーム)だった。5月26日の
DeNA戦(甲子園)以来の先発。二軍のウエスタン戦で10試合に登板してきた成果を示したかった。
だが、大瀬良、菊池に死球を与えるなど、4回2/3を7四死球、7安打3失点で散々な結果に終わった。試合後は再びファーム行きを命ぜられる。
どのような状況でもメディア取材に応じてきた試合後の藤浪が「きょうはすみません」と口をつぐんだ光景に闇の深さが感じられた。
もともと藤浪の荒れ球は持ち味だ。それが制球難に陥ったことで、けん制、フィールディングまでセルフコントロールがつかない悪循環になった。
最大の課題は制球力を修正することだと分かっていても、その原因が究明できていない状況だ。
8月22日のウエスタン・リーグ戦の
ソフトバンク戦(鳴尾浜)でも2回3安打2四球で4失点。藤浪は「結果を残したかった」と言うのがやっとだった。
その後再度一軍に昇格。8月27日の巨人戦(東京ドーム)では先発の機会をもらい、6回1/3を9奪三振3安打3失点。負け投手にはなったが復調の気配を見せた。金本監督も「5、6回までは、ほぼ(完璧)でしたね。6回までの姿を見ていると、ひと安心です。次回もあります」と今後も先発の機会を得た。
藤浪の不調は球団の未来図に関わっているだけに1日でも早い完全復調に期待したいところだ。