ロング救援からワンポイントまで。当初の早い回から、徐々に試合終盤へ。起用にこなしたモイネロは今季、
ソフトバンクのブルペンのキーマンだ。シーズン最多セーブ記録を樹立、更新し続ける守護神・
サファテや
岩嵜翔の存在も大きいが、シーズン途中に加入した左腕の存在もまた大きかった。
3月のWBCでキューバ共和国代表の一員として活躍し、5月に初来日した。横手投げに転向した
嘉弥真新也が台頭し始めていたが、FAで
巨人へ移籍した
森福允彦の穴が1年を通じて埋まるかは未知数だった。
育成選手としての加入。「一軍の一員としてチームに貢献したい」という控えめな目標は嘘ではなかったし、育成入団した「投打二刀流」のコラスとともに、先行投資的な意味合いが強いと思われていた。
だが、ファームの試合で投げ初めて約1カ月、6月中旬に支配下登録。細身の体からは想像もつかない150キロ前後の球で、みるみる結果を積み重ねていった。
能力ゆえ、工藤監督も一時、谷間の先発候補にも挙げたほどだ。大前提として魅力は制球力。4イニング投げて1個に満たないペースの与四球からも分かるように、とにかく自滅しないところが使い勝手につながった。
「打者目線からいろいろアドバイスももらっている」。母国の大先輩・デスパイネが常にベンチにいてくれたのも大きかった。推定年俸2000万円の掘り出し物は、そもそも
スアレスをトミー・ジョン手術で通年欠いた事態を忘れさせるようだった。
写真=湯浅芳昭