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オリックス・大山暁史 どん底から這い上がった左腕

 

3番手で登板した8月5日の日本ハム戦(札幌ドーム)でプロ初勝利をマーク。貴重な中継ぎ左腕としてブルペンを支えている


「終わったな」

 あの日の喪失感は今でも忘れはしない。昨年の5月24日のヤフオクドーム。オリックスソフトバンクに6対22の歴史的大敗を喫した。

 3番手で登板した大山暁史も5四球で7失点(自責1)。ストライクが入らず目も当てられないほどの投球で、即二軍行きが告げられた。結局、これが昨季最後の一軍登板になった。福岡から帰阪する道中では、最悪の結果も頭をよぎったという。

 そして迎えた10月1日。ある程度は“その時”を覚悟していた。しかし、球団から戦力外を通告するための電話はかかってこなかった。

「その後のドラフトでも左を取っていなかったんですよ。これはチャンスをもらった、と思いましたね」

 そこから28歳の快進撃が始まった。今季は5月に初めて一軍昇格。同じ左腕の海田智行が不調だったこともあり、徐々にワンポイントから出番を増やしていった。

 6月からは一軍に定着し、9月25日時点で自己最多の30試合に登板。貴重なリリーフ左腕としてチームに欠かせない存在になりつつある。

 昨季までの3年間は紆余曲折の日々だった。1年目の秋季キャンプでサイドに転向したが芽は出ず。昨年8月に再び上手投げに戻した。サイドを経験したことで下半身の使い方が変わり、直球の威力も増したという。球速以上に見える質の良い球を武器に、どん底から生還した。

「お世話になった小林(宏・投手)コーチやスカウトに恩返しがしたい」

 そう燃える大山の目は生き生きとして見えた。

写真=榎本郁也
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