勝負強い打撃と華麗な守備に隠れがちだが、坂本勇人は走塁面でも高いレベルにある。「常に次の塁を狙う気持ちは忘れないようにしています」と話す巨人のキャプテン。センスが光る走塁は、今季もここぞの場面で発揮された。
ハイライトは9月8日の
ヤクルト戦(東京ドーム)。2点リードの8回二死満塁、坂本勇は二走でスタートを切った。
橋本到が放った三遊間へのゴロが内野安打となり、ヤクルトの遊撃・
奥村展征の二塁への送球が乱れた一瞬のスキを逃さず、三塁を回り一気にホームへ。捕手・
中村悠平のタッチをかいくぐり、左手の先で本塁ベースを触る好走塁で、貴重な追加点をもたらした。俊足だけでなく、判断力や走塁技術で韋駄天ぶりを見せつけた。
三塁ベースコーチを務める
大西崇之外野守備走塁コーチも「相手の守備陣形など、いろんなところをよく見ている。相手の少しのスキも見逃さないし、盗塁でも、行くと決めたときの思い切りはすごい」と絶賛する。
夏場から打撃不振が続いているが、9月20日の
阪神戦(甲子園)ではレギュラーに定着した数年前までは定位置だった一番に座るなど、スピードも武器の1つだ。
盗塁数はチームトップの14個(9月20日現在)をかぞえ、2013年には24盗塁(キャリアハイ)をマークしたこともあり、通算盗塁数は138個と好ランナーでもある。強打で得点を重ねる攻撃型打線にとって、貴重な機動力で攻撃を盛り立てている。日本最高の遊撃手として君臨する背番号6は、“走・攻・守”で魅了し続ける。
写真=BBM