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西武・平井克典 チームに欠かせぬ存在となった新人サイドリリーバー

 

新人ながら42試合に登板した平井


 今季、ドラフト5位で入団した平井克典。社会人(Honda鈴鹿)出身で、同期の中で最年長25歳という立場から、「即戦力にならなければ」という危機感があまりに強過ぎた。

 2月、A班キャンプ入りを果たしたが、「一軍の選手は、みんな良い球を投げるから、僕も負けないように投げなきゃいけないと焦って、どんどん悪い方向に進んで行ってしまいました」。気がつくと自分の投球を見失い、オープン戦での登板を待たずに二軍行きが決まった。

 だが、「そこで今一度、自分自身をしっかりと見つめ直せたことが大きかった」と本人は振り返る。まずは「良いときの自分を取り戻すこと」に専念した。社会人時代の映像を何度も繰り返し見ては、フォームの部分から徹底的にチェック。すると明らかにフォームが崩れていることに気がついた。

「最初に足を上げたときの姿勢を一番大事にしているのですが、その基本的なところが全然できていませんでした」

 修正の甲斐あって、本来の自分の球を取り戻すと、ファームでの先発起用をきっかけに「徐々にではなく、急激に良くなった」と潮崎哲也二軍監督は言う。さらに「それまでは正直、何が売りなのかが見えなかったのですが、先発をさせたら球は速い、空振りも取れる。コントロールもどんどん良くなった」と言葉を続けた。

 5月23日に一軍昇格を果たすと変化球のキレ、思い切りの良さを存分に発揮し、信頼を勝ち取る。勝敗を分ける大事な場面や勝ちパターンで投入される、貴重なサイドのリリーバーとして欠かせぬ存在となった。結局、今季は42試合に登板して、2勝0敗4ホールド、防御率2.40をマーク。本来の投球さえすれば、結果はついてくると自信をつけた平井。もう、決して自分を見失うことはないだろう。

写真=BBM
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