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楽天・岸孝之 失わなかった安定感/新天地1年目を終えて

 

勝ちの星は伸びなかったものの、その投球はさすがと呼べるものだった


 抜群の安定感で、1年間先発ローテを支え続けた。昨オフ、FA宣言し生まれ育った仙台へ戻ってきた岸孝之は、則本との二枚看板でチームをCSファイナルステージまで導いた。勝ち星こそ8勝と3年連続で2ケタに届かなかったが、リーグ5位の防御率2.76に自己最多を更新する189奪三振。高い技術とマウンドでの振る舞いは、若い投手陣に大きな影響を与えた。

 ジェットコースターのような移籍1年目だった。則本がWBCに参戦したこともあり、開幕投手に内定。しかし、インフルエンザに感染し回避を余儀なくされた。それでも、4月9日のロッテ戦(ZOZOマリン)で移籍初先発初勝利を果たすと、前半戦は「サンデー岸」として7勝3敗。チームの首位ターンに大きく貢献した。

 後半戦は一転して苦しいマウンドが続いた。7月19日の日本ハム戦(札幌ドーム)で8勝目を挙げたのを最後に、CS前の調整登板を含め、12試合連続白星なしでシーズンを終了した。ところがCSではブーイングをものともせず、古巣・西武とのファーストステージ第2戦(メットライフ)で、7回途中無失点と好投し白星。「ずっと勝ってなくて、だいぶスッキリした気持ちです。負けちゃいけないところで勝てたことも、大きかった」と安どの笑みを見せた。

 後半戦、援護に恵まれず勝てなかった時期も安定感は失わず、首脳陣の信頼は厚い。今季届かなかったリーグ優勝、日本シリーズへ、来季も先発陣の中核を担う。

写真=湯浅芳昭
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