決して多くを語らないが、静かな口調は目標が現実味を帯びてきた証左だろう。昨季CSを勝ち抜いて19年ぶりの日本シリーズ進出を果たしたDeNAは、1998年以来となるセ・リーグ優勝へと機運が高まっている。今季も主将マークを胸に戦う
筒香嘉智は「それが近くなってきている実感が、選手に湧いているのも確かだと思う。全員がそこに向かってやっていくことが大事」と謙虚な言葉を慎重に選び、チームが同じ方向性でいることの重要性を説いた。
筒香は自身の打撃や言動でチームに訴え続けたメッセージを今年も変える気はない。三番での起用を明言している
ラミレス監督からは3割、30本塁打、100打点、得点圏打率.340など、メディアを通じて高い期待を掛けられたが「数字を追ってはやらない。チームの勝ちのためにやって、シーズンが終わったときに良い数字が出ていればいいこと」と勝利が唯一の目標であることを強調。キャンプの調整についても「僕自身はチームが良い方向に向くよう、できることを考えながらやっていく」と“個人色”を徹底して消した。
3月にオーストラリアとの練習試合を行う侍ジャパンでも、
稲葉篤紀監督から早々に四番指名を受けている。交際を続けて来た女性と今春結婚し、年内には第1子をもうけることも公表した。背負うものは大きくなる一方だ。「正解はないし、成長にゴールはないと僕は思っている。どんどん追求していきたい」。強固な大黒柱がチームを支える。
写真=上野弘明