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DeNA・中川大志 開幕一軍入りに燃える男/生き残りにかける

 

3月6日の阪神戦では9回に代打で登場すると甲子園の右中間に叩きこむ特大2ラン。持ち前のパワーをアピールした


 不遇に耐えた経験が男を一回り成熟させる。中川大志が2月25日、アトムホームスタジアム宜野湾で行われた楽天とのオープン戦の7回に代打で出て中前打を放った。昨季まで9年間在籍した古巣戦に「気合いが入りました。何とか打ちたいと、より一層強く思っていた」と安堵した。

 かつてはイヌワシ打線の四番を張った長距離砲は近年出場機会を減らし、昨季終了後に戦力外通告を受けた。外国人選手が中軸を固めたチームで、限られた出番で結果を出そうとする気持ちばかりが先行し「冷静に打席を迎えられなかった。たまに出て結果を出すことの難しさを感じた」と振り返る。

 その中川が新天地のDeNAで「たまに出る」代打として開幕一軍入りが手の届くところにいる。ラミレス監督は続く27日の中日との練習試合(北谷)でも途中出場で安打した中川を「非常に良い仕事」と称えた。楽天時代の失敗があるからこそ、燃えたぎる思いを深い集中に入ることで表現できている。キャンプではフリー打撃からスイングごとにこまめにフォームを確認する姿があった。「振り返れば、1打席、1球を大事にする心掛けが足りなかった。今は1球1球に集中して野球に向き合っている」。

 まだ28歳。「来年の戦力に考えていないと言われたときは悔しかった。でも、自分はまだできると思っていた。拾ってくれた球団に、恩返ししたいと強く思っている」。そのステージに立つため、渾身の思いを込めてバットを振り抜く。

写真=早浪章弘
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