生まれ育った地元の球団で、節目の白星を挙げる。4月8日の
楽天戦(楽天生命パーク)。今季2試合目の登板だった中田賢一が、7回2安打無失点の好投で今季初勝利をマークした。「とにかく勝ちを意識して投げた」。開幕から8試合目にしてチームの先発陣にとって初白星となった1勝は、自身にとっても
中日での新人年から14年連続となる勝ち星。この大きな1勝で、通算100勝へも4に。21日の
日本ハム戦(札幌ドーム)は8回130球を無失点の熱投で、残りを「3」とした。
2013年オフに大きな決断をした。入団から9年間を過ごした中日では61勝をマーク。アマ時代から熱心に見守ってくれた球団への愛着は当然強かったが、福岡への思いも強くFAで地元に戻ることを決めた。当時の入団会見では「帰ってきたなと。大学時代もプロでもヤフオクドームで投げたことがありますが、このマウンドで投げたいという気持ちが強い」と、子どものように目を輝かせて意気込みを口にした。
地元の進学校、八幡高から同じく公立の北九州市立大へ進学した。ともにいわゆる「野球強豪校」ではなく、高校時代も無名の存在。大学進学もプロ入りを意識してのものではなかった。それでも大学2年時の春秋に九州六大学リーグの連続ベストナインを獲得。大学の下級生時代はカラオケ店でアルバイトをしながら練習に励んでいたが、一気にプロへの道が開けた。
今年36歳を迎えるベテランが、大好きな地元に今秋も歓喜をもたらすためにその右腕を振り続ける。
写真=湯浅芳昭