いかにも重そうなストレートがうなりを上げる。
井口資仁監督に「涌井(秀章)と並んで先発の二枚看板」と抜群の信頼を寄せられる石川歩は、その期待に応える好スタートを切っている。
開幕2カード目の
オリックス戦(京セラドーム)で先陣を切り、7回1失点で
金子千尋に投げ勝った。2戦目は開幕から8連勝だった
西武戦(ZOZOマリン)。超がつくほどの強力打線に真っ向勝負を挑み、7回途中8奪三振1失点。西武に今季初の土をつけてみせた。「1人ひとりに対して丁寧に投げられた結果」と胸を張った。
圧巻は3戦目だ。ZOZOマリンでオリックス打線を相手に自責点2で完投勝利。
ロッテでの今季完投一番乗りで、指揮官は「8回が終わって『最後まで行くぞ』と声をかけたら、普段は代えてほしそうなオーラを出すのに今日は『分かりました』と行く気になっていた」と大絶賛。当の本人は「聞かれたら『行きたくない』って言ったと思う」とはぐらかしたが、エースの自覚は十分に感じさせた。
昨季はWBCに出場した影響もあったのか、開幕から不振を極めた。入団から続けた3年連続2ケタ勝利が途絶えただけでなく、防御率5.09で3勝11敗という屈辱的な数字。3勝目のお立ち台で「とりあえず去年に並びました」と語ったのは、本心からの安堵だっただろう。捕手の田村は「直球が去年のように
シュート回転していない」と具体的な改善を感じ取っている。やはり、3勝で終わるような男ではない。
写真=BBM