この男がフィールドを躍動すればベイ打線は活気づく
Aクラスを争う
DeNAにあって、苦境に立つ1人が
桑原将志だろう。ここまで25試合で打率.254、1本塁打、3打点。規定打席に届くこともなく、ベンチを温める日が多くなっている。
一昨年に実力で奪い取り、昨年は全試合出場を果たしたポジション。安泰で代名詞でもあった「一番・中堅」は新人・神里らに明け渡すようになった。オープン戦では打率.167。20年ぶりの優勝へ誰よりも本気な
ラミレス監督は、シビアに目を光らせていた。「昨シーズンの終盤から調子が悪く、キャンプからその状態が続いていた」。開幕戦こそ指定席に座ったが、3戦目で二番へ。さらにその2試合後には先発メンバーからも外し、勝つための采配を振った。
明るい性格は誰もが知るところで、ユニフォームを着ればプロらしくムードメーカーの役割も全う。「現状を受け入れてはいけないですけど、自分の力が足りなかったということ。とにかく結果。結果を出すことしかない。そのために何ができるかを考えながら、やっていくしかない」と悔しさを内に秘め、やがて来るはずの出番に備えている。
今年から託されている背番号「1」。同じ外野手のリードオフマン的存在では、長く
金城龍彦(現
巨人二軍外野守備走塁コーチ)が着けた伝統ある番号だ。「セ・リーグの右打者で200安打できるのは桑原だと思っている」とラミレス監督が高く評価しているのも事実。本当の意味で勝利の輪に加わり、心の底から笑いたい。
写真=前島 進