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ヤクルト・大引啓次内野手 意識しないことが実は重要。ベテランが達した守備の“境地”/守備職人のプライド

 

その守備は若手にとっての生きた教科書だ


 ヤクルトの「名手」と言えば、プロ12年目の大引啓次だ。3年目の廣岡ら若手も積極的に守備のことを聞きにいくなど、“先生役”としてもチームに貢献している。オリックス時代の2012年には、遊撃のポジションでリーグ1位の守備率.987。ヤクルトに移籍後の16年にも、同じくリーグ1位の守備率.990を誇り、99試合で失策はわずか4と、守備では抜群の安定感を誇る。チームには若手内野手が多く、発展途上なだけに、大引の存在は貴重だ。

 そんな守備職人にとっての大事なことの一つに「一歩目」がある。「バットの芯でとらえているか、とらえていないか。打球スピードや、ワンバウンド目。インパクトの瞬間が分かれば一歩目が切れる。漠然とやっていると、バウンドが合わなかったりするので」と大引。グラブさばきは「柔らかく」が基本で、「下から下からというイメージ」と説明する。

 プロ12年目、セ・パ3球団多くの経験をしてきただけに「一番大事にしていることって、分からないですね。自分の中で意識していないものが本当は一番重要なのだと思う」。そんな守備の“境地”に達している。

 今季は、春のキャンプ序盤に下半身のコンディション不良で離脱し、開幕は二軍。一軍に復帰したのは4月25日だった。それでも、5月6日の広島戦(神宮)では1点を追う9回二死から、代打で同点ソロを放つなど、バットでも貢献している背番号2。チームにとって、いるだけで心強い存在だ。

写真=榎本郁也
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