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ロッテ・岡田幸文 不名誉な連続打席無安打記録更新も光る存在感/足で魅せる

 

代走&守備固めで確かな存在感を見せる岡田だが……


 スタメンで出る機会はほとんどない。ただ、岡田幸文は常に洞察力を働かせている。象徴的な場面があった。7月10日の西武戦(メットライフ)、4対4で迎えた8回無死一、二塁。代走の二塁走者はこう考えていた。

「(3球目は)真っすぐで勝負してくることはないだろう。投球がワンバウンドならば、迷わず三塁へ行こうと決めていました」

 打者・井上晴哉は直球2球で追い込まれた。3球目は変化球が来る確率が高い。想定していたとおりに3球目のカーブを捕手・炭谷銀仁朗がやや右前方へはじいた。一走・中村奨吾は自重したが、背番号66はボールが土につくのと同時にスタートし、三塁を陥れる。無死満塁とチャンスを広げ、決勝点は相手失策が絡んだものだったが、ベテランの判断が勝利を呼んだ。

 プロ10年目を迎えた今季、打撃の恩師・金森栄治打撃コーチが6年ぶりに復帰した。「金森さんの軸を意識して強く振る理論は、僕にははまった」と打撃の復調によるレギュラー奪回を思い描いた。だが、開幕から荻野貴司が一番に定着し、ベンチにいる時間が圧倒的に多かった。悔しさはある。ただ、自分に与えられた役割に徹した。「ベンチにいても試合には常に入っている」。代走、守備固めと衰え知らずの「足」はまだまだ、一軍には必要な戦力なのである。

 この西武戦の9回に打席に立つと二ゴロに倒れ、2016年以来の連続打席無安打は54。野手では1993年トーベ(オリックス)の53打席を更新する不名誉なプロ野球記録も作った。「ヒット、打ちたいね」。攻守走で魅せたい。岡田の笑顔に悔しさもにじんだ。

写真=BBM
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