30歳になった斎藤佑樹。苦しい戦いが今シーズンも続いている
12年前の日本の夏を盛り上げたのは、間違いなく斎藤佑樹だった。早実の絶対的なエースとして破竹の勢いで全国制覇。マウンド上で、ポケットから取り出した水色のハンカチで汗を拭く姿も大きな話題となった。いつしか「ハンカチ王子」と呼ばれるようになり、迎えた決勝は100年後も語り継がれるであろう熱戦を繰り広げた。
決勝の相手は夏3連覇を狙った駒大苫小牧高。現在は
ヤンキースで活躍する
田中将大という大エースを相手に、互角の投げ合いが野球ファンだけでなく、国民の関心を引きつけた。延長15回引き分け再試合という2日間に渡る死闘を制した早実が歴史に新たなページを刻んだ。
早大を経て、2011年ドラフト1位で
日本ハム入り。ルーキーイヤーは6勝をマークしたが、2年目の終盤に右肩関節唇を損傷。故障に苦しみながら地道なリハビリで問題なく投げられる状態には戻ったが、成績としては苦しみ続けている。今シーズンも2度の先発機会を得たが、ともに打ちこまれて結果を残せなかった。
6月に30歳を迎えた。あの甲子園での伝説的な活躍から干支もひと回りした。「とにかく結果を残さないといけない立場。危機感は常にあります」と二軍でひたむきに投げ続け、再度のチャンスをうかがっている。
一軍は優勝争いが佳境になる8月以降の日程が過密。いつ呼ばれてもいいように良い状態をキープし、高校野球のレジェンドが節目の夏にふたたび輝きを放てるか。
写真=BBM