シーズン早々の5月に、「足りない部分を補うため。投手は1人でも2人でもいてくれればいい」(
渡辺久信シニアディレクター)と打った出た先手が、見事に奏功した。
開幕2戦目から絶対的なセットアッパーとして信頼を寄せていた
高橋朋己が負傷で長期離脱。加えて、先発ローテーションの一角を担うはずのウルフが4月中旬に右ヒジ違和感で離脱、さらにはエース・
菊池雄星も左肩の機能低下のため5月上旬に二軍調整と想定外のアクシデントが続いたこともあった。
2014年から2年間在籍した
広島で、1年目に先発として7試合3勝0敗、防御率2.38、2年目は中継ぎとして43試合3勝6敗4S10H、防御率2.36と、どちらも対応可能なアメリカ出身右腕、ヒースをいち早く獲得した。
加入して1カ月、その存在感は日増しに高まっていった。6月、
武隈祥太、
野田昇吾、
平井克典、
増田達至と勝ちパターンで起用されてきた中継ぎ、抑えがそろって状態を落とした。その中で6試合6回を無失点、防御率0.00と抜群の安定感でチームを救い、首脳陣からの信頼を得ると8月からは本格的に抑えとして起用されている。
チームは開幕から猛打を誇り、逆転勝利も多い。たとえ先制されても最後まであきらめず、土壇場で追いつく粘り強さが兼ね備わっている。7度のサヨナラ勝利が何よりの証拠だ。そうした勝ち方の傾向を見ても中継ぎ、抑えが重要なカギを握る。
9月17日にはついに優勝マジックが点灯した。10年ぶりの悲願達成へ、新守護神・ヒースは必要不可欠だ。
写真=BBM