先発からブルペンへの配置転換で輝きを放っている浦野
プロ5年目を迎えた今シーズン、
浦野博司が生まれ変わった。「先発のプライドは捨てました」。ルーキー時代から基本的に先発投手としてプレーし続けてきた。今春のキャンプも先発調整を続けたが、2月下旬の練習試合で右内転筋を負傷。開幕一軍を逃した。二軍戦で復帰して結果を残すと一軍昇格となったが、役回りは中継ぎだった。
当初はリードを許している展開での登板が続いた。黙々と結果を残すと首脳陣からの信頼も徐々に厚くなった。交流戦で一度だけ先発したが、再びブルペンに戻ると得意のフォークとキレのある直球で三振を量産。8月下旬に守護神の
石川直也が故障離脱すると、奪三振力の高さが決め手となり、クローザーに抜てきされた。
ブルペンに入ることは「いいきっかけというか、自分が変われる瞬間になる」と信じ、新境地を切り開いた。3年目の16年は右肩を故障。骨が壊死する症状で一時は引退も頭の片隅をよぎった。絶望からはい上がり、昨季は復活勝利もマーク。怖いものはもう何もない。どんな状況でもプラスに変えられる強さがある。
石川直が戦列復帰すると役回りはセットアッパーに変わった。それでも相変わらず淡々と、でも心は熱く投げ続けている。また、後輩からも慕われる人間性にも魅力がある。「新たにここから始まっていくと思うので、生きる道を探しながらやっている感じです」。もはやチームに欠かせない戦力として、大きく飛躍を遂げようとしている。
写真=BBM