週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

ソフトバンク・Y.グラシアル 鷹の勢いを見せつけた助っ人の一発/後半戦ベストゲーム

 

デスパイネに代わり昇格した助っ人・グラシアルのグランドスラムで西武に食らいついた


 8月26日、本拠地ヤフオクドームのボルテージは最高潮に達した。首位西武との直接対決、3連戦の3戦目。同点の延長12回一死満塁、打席にはY.グラシアル。外角高め、見逃せばボールかという増田達至の150キロを振り抜くと、打球はソフトバンクファンの待つ右翼席に突き刺さった。パ・リーグ9年ぶり、チーム19年ぶりのサヨナラ満塁本塁打だった。

 チームは6連勝で日本ハムをかわし2位に浮上。勢いに乗って本拠地に首位西武を迎えたものの、その差は8ゲームあった。初戦、2戦目を取ってようやく6ゲーム差としても、3戦目を落とし7ゲーム差に逆戻りすれば、反攻の気運は一気にしぼむ状況でもあった。

 初回の柳田悠岐の2ラン、2回の今宮健太の満塁弾で6点リード。ところが西武の「獅子脅し」打線につかまり、7回に4点差を追いつかれると、8回には2点を勝ち越された。それでも直後に柳田の30号2ランで同点。最後に助っ人のグランドスラムが飛び出した。工藤公康監督も「すごい試合。絶対負けない思いをプレーに出してくれた」と大興奮だった。

 当時のチームは内川聖一、A.デスパイネが立て続けに離脱。ベテランと大砲を欠いたところで昇格し、打ちまくっていたのがグラシアルだった。「最後には、自分たちが一番上の場所にいると信じている」。その後もじわじわと差を詰めたが、3.5ゲーム差で迎えた9月中旬の敵地3連戦で3連敗。事実上、ここで逆転Vへの道は閉ざされ、同30日、敗れて西武の優勝を決める結末となったが、勢いは本物だった。

写真=湯浅芳昭
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング