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ロッテ・土肥星也 「あの1球」をプロ初勝利につなげる/あの悔しさを胸に

 

今季はプロ初勝利を含む2勝をマークした土肥


 5月20日、ZOZOマリンでのソフトバンク戦だった。プロ2年目で初先発のマウンドだった土肥星也は「あと1人」まで迫っていた。4対2と追い上げられた5回二死二塁。83球とまだ余力はあった。だが、ベンチの井口資仁監督は交代を告げる。デスパイネに一発が出れば同点の場面でチームの勝利を優先した采配だった。

「あそこで代えられたのが僕の実力だと思います」

 22歳の左腕は素直に「非情」とも思える交代を受け入れた。それは自ら蒔いた種だったからだ。3点のリードで5回を迎えたが、先頭から連打を浴び、送りバントで一死二、三塁。柳田悠岐に高めに浮いた変化球をとらえられ、中堅への犠牲フライを打たれた。

 球威のない土肥にとっては低めに投げることが生命線。それまでの2打席、柳田を連続三振に打ち取っていただけに、悔やまれる1球だった。

 その後、2度の先発チャンスも生かせず、6月4日には出場選手登録を抹消。2カ月間、ファームで徹底したフォームの修正を行った。打者に対し、投げ急がず、体の開きをぎりぎりまで我慢した。

 巡ってきた8月16日の日本ハム戦(札幌ドーム)。初回に中田翔に2ランを浴びて先制は許したが、2回以降、6回までに3度先頭打者を出しながら追加点は許さず、プロ初勝利。直球、変化球ともに低めに投げ切った結果だった。

「先頭打者を出してからの投球に気をつけた」。自分自身のストロングポイントである粘りが重要だと、あの「1球」が教えてくれた。

写真=BBM
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