今季限りでの現役引退を決めた新井貴浩が、クライマックスシリーズでも活躍した。
巨人とのファイナルステージ第2戦。起死回生の同点タイムリーを放って、チームを2連勝に導いた。
「本当に最高。きょうもたくさんの声援をいただいたので、気持ちマックスで打席に入りました」
8回二死一塁から代走・上本が二盗を成功。その直後に畠のフォークをとらえ、左翼線への二塁打とした。チームは田口と畠の前に7回までわずか1安打。この新井の一打が、菊池の決勝3ランにつながっていった。
昨年は
DeNAに敗れているファイナルステージを前に、新井は攻めの姿勢を強調。「チャンピオンチームだけど、相手を受け止めるのではなく、自分たちからプレー的にも攻めていくことが大事。去年は『俺たちが次にいかないとまずい』と構えて、受け身になったと感じた」と話していた。
そして第3戦も完勝。無敗でのステージ突破を決め「まさにそういう(攻めた)シリーズだった」と満足そうに振り返った。
チームは「家族」だという。年齢や実績の壁などない。若い選手とも気さくに話す。「みんなかわいい。もっとよくなってほしい」。そんな中でカープファミリーの長男として先頭に立ち続けた。
技術、体力の衰えは感じていない。それでも惜しまれつつ、ユニフォームを脱ぐ。「自分が決めたことだから」。記録にも記憶にも残る、リーダーの見本のような存在だ。
写真=BBM