バットだけではない。今季は初のゴールデン・グラブを受賞するなど実り多きシーズンだった
投手が
東克樹なら、野手の注目は
宮崎敏郎だろう。「しっかり評価してもらえたと思います」と表情を崩したのが1年前。プロ5年目で初めて規定打席に到達し、打率.323で首位打者のタイトルを獲得したシーズンだった。年俸3000万円から、5000万円アップの8000万円で契約を更改(金額はすべて推定)。167%の昇給を勝ち取った。
「来年はケガなく全試合に出たい。(主将の)筒香をサポートして、リーグ優勝したい」。現状に満足せず、128試合の出場にとどまったことを反省。主軸として自覚と責任感を持ち、新たなシーズンを迎えた。オフの自主トレからキャンプと順調に仕上げ「5番・三塁」で開幕スタメン。3、4月を打率.319で好発進し、安定感を際立たせた。
筒香嘉智、ロペスと組むクリーンアップは大看板。両雄が故障に苦しむと、四番に座って穴を最小限に食い止めた。590席で45三振は特筆すべき数字。チーム別打率でも偏りがなく、
巨人戦の.333が最高で、最低でも
広島戦の.287だった。最終的には142試合と欠場は1試合だけ。リーグ8位となる打率.318、自己最多の28本塁打と長打力も開花させた。CS進出を逃したチームで個人成績を向上させた1人。1億円プレーヤーの仲間入りはもちろん、倍増以上の攻防も予想されるだろう。
社会人・セガサミーから2012年ドラフト6位で入団し、かつては戦力外も覚悟した苦労人。“ハマのプーさん”は、まだまだ高く飛翔する。
写真=桜井ひとし