2年目を迎える井口監督は若手の成長を期待している
指導者として初めての1年を終えた
井口資仁監督は「自分自身も勉強だった。いいも悪いも経験。それを来季に生かしたい」と謙虚な言葉を並べた。
昨季まで選手としてチームにいたのだから、長打力不足は誰よりも分かっていた。だからこそ「野球の基本」と語る走塁を特に重視。開幕からしばらくは
荻野貴司と
中村奨吾が競うように盗塁を稼ぎ、重盗を成功させるなどして健闘した。しかし、オールスター目前で荻野が右手指を骨折して離脱すると、チームは勢いを失った。
極めつきは7月31日の
日本ハム戦(釧路)で、先発陣の柱の1人である
石川歩が初回10失点KOを食らったこと。そして翌日の帯広での同戦で、6点リードを8、9回だけで逆転されたことだ。斬り込み隊長に加え、先発の柱、さらに勝ちパターンまでが崩れてしまうと、穴は埋め切れない。「立て直せなかった」と井口監督も認めるように層の薄さを露呈した。
今季は
田村龍弘、中村、
藤岡裕大、
鈴木大地が全試合に出場。彼らがここからしばらく井口
ロッテの核になることは明らかで、終盤も使い続けたのは本人に自覚を促す意図もあった。
その上で監督は、高卒4年目の
香月一也らの名を挙げて期待を口にしている。香月だけではない。若い選手たちの台頭を待っているのだ。「まだチーム全体が甘い。一人ひとりがチームを変える思いでやらないと」。井口野球の申し子と呼ばれるような新世代が今の中心選手を押しのけることができれば、久々の頂点が見えてくる。
写真=BBM