下馬評を覆す“番狂わせ”を演じるかもしれない。熾烈を極める正捕手争いで、2年目の大城卓三が持ち味を発揮している。
「3人とも素晴らしい捕手陣なので、アピールするしかない」と語る強打の捕手は、そうそうたるメンバーとの出番争いに挑んでいる。宮崎春季キャンプの一軍捕手は
西武から新加入した炭谷銀二朗、近年は正捕手の
小林誠司、一塁から復帰した
阿部慎之助のWBC出場経験を持つ3人でスタートした。大城は二軍だったが、沖縄2次キャンプから一軍に合流。地元でもある那覇の空気を吸って、めきめきと頭角を現した。
2月16日のサムスンとの練習試合(セルラー那覇)では5回に代打で登場。他選手と比べても一際大きな声援と指笛で打席に迎えられ、左腕から右中間二塁打を放った。ハイライトは24日の日本ハムとのオープン戦(同)。途中出場し、8回の逆転3ランを含む2安打。2点を追う8回一死一、二塁で
ロドリゲスの外角直球を左翼席へ運び、3対2の逆転勝利に導いた。守備では盗塁阻止でも沸かせ、地元でヒーローになった。
東海大相模高、東海大の大先輩で、今キャンプでもしばしば大城に直接指導を行っている
原辰徳監督も「成長の跡が見られている。スローイングも非常に良くなっている。いい形でレギュラー捕手争いに名乗り出たと僕は受け止めた」と賛辞を惜しまなかった。
実績はまだ浅いが、守備とバットで、チームを勝たせられる捕手であることを印象づけている。
写真=小山真司